駅からあるき by DJ Kei
2008.06.06-08 秋田方面鉄道乗車(2日目)

秋田方面鉄道乗車(2日目)

2008年6月06-08日

行程

6月6日
場所種類
名古屋19:22ひかり428号
品川21:03JR
新宿22:10小田急バス「フローラEX」
6月7日
秋田6:106:12こまち4号
角館6:557:08秋田内陸縦貫鉄道
阿仁合8:368:57秋田内陸縦貫鉄道
鷹ノ巣10:0510:18特急「かもしか1号」
大館10:3211:06快速「八幡平」
盛岡13:2914:10IGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道
八戸16:0616:14特急「スーパー白鳥19号」
青森17:1518:08特急「あけぼの」
6月8日
上野6:58JR
東京8:00JRバステック
星ヶ丘13:10

プランニング

今回のメインは,寝台特急「あけぼの」のシングルデラックス(A個室寝台)乗車.先に列車に乗車することを決めてから,詳細な計画を立てていく.1ヶ月前に,「あけぼの」の寝台券を確保して,まずは一安心.次に現地でキーとなる路線を決める.「あけぼの」は始発の青森から乗るのだが,青森から少し離れているが秋田内陸縦貫鉄道は,以前から一度乗ってみたい路線だったし,近年好ましくない話も出ているようなので今回のキー路線に決定.次に決めるべきは,現地までの往路の交通手段で,夜行高速バスの利用はほぼ確実.秋田内陸縦貫鉄道の起点・終点は鷹ノ巣と角館で,両方とも東京圏からの直行夜行バスがあるが,あいにく到着時刻が遅いので,その後のプランがうまくいかない.結局,現地の到着時刻が比較的早い秋田行のバスに乗ることにした.ただし,このバスは,秋田駅到着の定刻は6:10で,私の乗りたい列車の秋田発は6:12.夜行バスの定刻なんてあってないようなもの.列車へうまく接続するためには,少なくても5分程度の早着が必要だろう.こうして,バスの早着を見込んだ少々危ないプランニングながらも,その後の接続はなかなかうまく仕上がったプランができあがった.秋田内陸縦貫鉄道の乗車の後は,JR花輪線,IGRいわて銀河鉄道,青い森鉄道などの路線も組み込んで,寝台特急「あけぼの」へ乗り継ぐプランが完成した.

概要(その2 秋田内陸縦貫鉄道編)

この日は,秋田内陸縦貫鉄道,JR花輪線,IGRいわて銀河鉄道,青い森鉄道などに乗車する行程である.少し天気に恵まれなかったが,各行程にて車窓を堪能できた.

記録


秋田→角館

秋田駅は2階にあって,まず駅前ロータリーから上る階段をダッシュで駆け上がる.駅東口から改札口からこれまた離れていて,ここでもダッシュ.時間はないが,とにかく6:12発の「こまち」に乗りたい.とりあえず適当な金額の乗車券だけを買って,車内で精算しよう.自動券売機で500円玉を1枚入れて500円以内のボタンを適当に押し,乗車券を購入して改札を通ったが,よくみると「こまち」の乗り場は別改札である.新幹線は在来線と別改札になっているのであった.うわっ,どうしようか.まごついていると,近くにいた駅員が「どちらまで」と尋ねてくれたおかげで,秋田駅入場証明をもらい,あらためて新幹線の改札口を通ってなんとか列車には間に合った.万一,この6:12の「こまち」に間に合わなかったとしたら,奥羽本線の下りに乗って鷹ノ巣から秋田内陸線へ乗ろうと思っていた.「こまち」に間に合うか間に合わないかで,買う切符も違えば,入る改札口も違うのである.判断に迷うところを,駅員さんが声をかけてくれて助けてくれた.本当に感謝である.

さて,「こまち」は,早朝時間帯ということもあり,気の毒なほどの乗車率であったが,東京に着く頃にはほぼ席が埋まるぐらいになっているのだろう.車内で角館までの乗車券と立席特急券を購入する.大曲までは,途中複線の並行線路に3線軌条の区間を見ながら進み,大曲で進行方向が反対となり,すぐに角館に到着した.

角館→鷹巣

角館は,JRと内陸線は直接つながっていないので,いったんJRの改札を出て,内陸線の改札へ入る.角館で,全線フリー切符(2000円)を購入した.全線通して乗るだけでは,フリー切符よりも普通に切符を買った方が安いのだが,記念に残したいのと,途中改札を通って下車する場合は,普通乗車券よりも安くなる場合もある.今回阿仁合で下車したが,その場合でも乗車券をその都度買うと2040円となり,フリー切符の方がわずかに安くなる.すでに角館には,小雨の中,単行のディーゼルカーが待機していた.ざっと車両を眺めた後,それに乗り込んだ.

角館出発時の列車の乗客は,私と家族連れ1組のみ.家族連れも話しぶりなどからすると地元客ではない(標準語に近い)ので,地元客ゼロで出発したということになる.時間帯にもよるだろうが,やはりこの区間は乗客が少ないのか.

角館から阿仁合までは,狭い谷間を進む路線で,谷間にあるわずかな田んぼと,杉を中心とした山深い緑,そしてトンネルが目立つ路線であった.駅ごとに停車するが乗る人はほとんどなく,静かに発車する.駅には「乗って残そう」のスローガンを掲げたポスターや看板が並べられ,この路線の現在の状況がひしひしと伝わってくる.阿仁合が近づくにつれて地元客とおぼしき人たちが少しずつ増えてくるが,それでも空席の目立つ中,列車は終点の阿仁合に到着した.

「笑内」駅名標

阿仁合で列車を乗り継ぐため20分ほど時間があるので,駅構内に留置されている急行列車「もりよし」を眺めた後,一度途中下車をする.立派な駅舎だが,やはり町の規模は大きくはない.

急行「もりよし」車両

阿仁合駅舎.駅前のバス停には,平日のみ1日1本運転のバス時刻表が掲載されていた.

「阿仁合」駅名標

阿仁合から鷹ノ巣までは,車両自体は異なるが同一形式の車両で運行(単行).AN8800型という形式の車両が多く使われていて,塗色が車両ごとに塗り分けられているようだ.阿仁合からは,うって変わって多くの乗客が利用する区間で,駅ごとに人が次々と乗ってきて,最終的には座席がほぼ埋まるほどの盛況であった.土曜日の午前中の上り(町に向かう方の路線)だから,利用者が多いのはわかるが,雨模様の中,ここまでの賑わいとは意外な感じである.こちらの区間でも,駅ごとに「乗って残そう」のスローガンが掲げられているので,それを実践されているのかもしれない.阿仁合からは,カーブが多くなり,列車はスピードが出せないのでのんびりと走るようになる.

合川にて

合川で長時間停車した後,定刻に終点の鷹巣に到着した.ここからJRに乗り換える人が多いのかと思ったらそうでもなく,鷹巣に用事のある人が多いようだった.

鷹ノ巣→大館→盛岡

鷹ノ巣からは,JR奥羽本線で大館へ向かう.接続の良い普通列車がないので,鷹ノ巣から大館までは,自由席特急料金500円を追加して,「かもしか1号」を利用した.数分遅れての到着であった.この列車は秋田新幹線や羽越線の特急との接続列車などもなく,他の列車から影響を受けやすい列車でもないので,この遅れの原因は不明であるが,大館からの列車の乗継には支障がない.内陸線に乗った後だから,特急列車のスピードは速く感じたが,そうでなければ,この列車は,特急列車らしからぬスピードという表現がぴったりあてはまるだろう.

大館では多少時間があるので,まず盛岡までの切符を窓口で購入する.ついで,駅を出る.まずは駅前のロータリー.バス乗り場があり,ちょうど盛岡行の高速バスが出発を待っているところであった.今回,この高速バスではなくて,花輪線利用にしたのは,花輪線の車窓風景がよい,特に遠方の山並みが美しいとの情報による.ただし今日は雨天であり山は見えないだろうから,高速バス利用でもよかったかもしれない.

そして,大館で途中下車したもう一つの目的は,大館から小坂町へ伸びる小坂鉄道の線路を見ること.数年前までは旅客扱いもしていて全国版の時刻表にも掲載されていた路線で,それ以降は貨物専用線として営業していたが,2008年4月からは営業休止状態となっている.写真は,小坂鉄道,大館駅合流地点.

実際には,線路はまだ残されているものの,すでに踏切のところには,立ち入り禁止の柵が取り付けられ,列車の運行は出来ない状態になっている.そのまま廃止となる可能性が高そうな印象であった.

再び駅に戻り,JR花輪線の列車に乗り込むことにする.今度の花輪線の列車は快速「八幡平」で,花輪線では1日1往復設定されている快速列車である.盛岡までの所要時間は高速バスとそれほど変わらず,善戦といえそうだが,何せ1日1往復では勝負にならない.盛岡までの通しの利用客はほとんどなさそうで,私が乗ったときもそんな感じだった.

列車はキハ110ながら,豪華4両仕立てで,JRのやる気をうかがわせていたが,肝心の乗客数は悲しすぎるほどである.私の乗った車両は2名しか乗っていない.4両合わせても20名程度で大館を出発した.

花輪線といえば,宮脇俊三氏が著書『時刻表2万キロ』の中で,国鉄全線踏破目前に,北海道からの帰りに利用した路線であり,私の中ではその作品での印象が強い.氏は奥羽本線の列車で寝過ごして,大館発の急行「よねしろ」に乗り遅れた氏が,タクシーで急行列車を追いかけるというシーンである.湯瀬(現湯瀬温泉),荒屋新町でも追いつかず,大更まで来てやっと追いついたものの,所持金がぎりぎりまで無くなってしまい,その後東京へ帰るまでひもじい思いをしたというものである.その中で,花輪線沿線の風景の美しさも紹介されている.
時代は進み,現在は優等列車はなくなり,快速それも1往復となってしまった花輪線.その快速も,乗客は近郊までの利用がほとんどであり,十和田南までで大半の乗客が下車していった.代わりに十和田南あたりからは,それより多い乗客が乗り込んできた.とはいっても,1両あたり多くて10名程度の乗客である.中では,乗客数の調査をやっている模様で,運転士,車掌の他にも職員が乗り込んで,区間ごとに人数を数えていた.私も乗客の1名としてカウントされていたらしい.

十和田南にて

車窓風景は谷間を進む山間部の鉄道線にありがちなものであったが,安比高原あたりではリゾート開発されていて,高原リゾート地にふさわしい景色が展開される区間も見られた.ただこの路線は,やはり晴れた日に乗るべきで,遠方の山並みが見えないといまいち車窓としてはさえないものがあるのではないかと思った.でも今回も決して退屈していたわけではなく,鉄道乗車としては大いに楽しめたと思う.列車は,好摩からIGRいわて銀河鉄道路線に乗り入れる.乗客はむしろ好摩以降の方がはるかに多く,盛岡までの乗客を次々と拾って終点の盛岡には定刻に到着した.

盛岡→八戸→青森

盛岡は,JR改札とは別に,いわて銀河鉄道の専用改札が設けられていた.午後に都心から郊外へ向かう列車だけあって,乗客はさすがに多い.そしてどこかのTVカメラが入っていた.混雑する車内をうろうろされて少々迷惑な存在だが,経営が順調とは言えない鉄道会社としては,取り上げてもらうのも仕事と心得ているのだろう.

IGRいわて銀河鉄道車両.2〜3駅の短距離の利用客が多かったが,二戸あたりまでの長距離の利用も結構みられた.二戸あたりからは列車はかなり空席が目立つようになった.途中三戸でなぜか長時間停車.八戸到着の時間調整のためだろうか.ただし,八戸に近づいても乗客の増加はいっこうに見られなかった.

目時駅.

青い森鉄道沿線車窓

車内の様子

八戸駅にて

八戸からは,特急列車に乗って青森へ向かう.八戸では青い森鉄道とJRは直接つながっていて,途中乗換改札などはない.さすがに特急列車は利用者が多かったが,自由席はなんとか窓側を確保した.ただし進行方向左側の,太陽が当たる側である.最初の停車駅三沢で,10名以上が下車した.八戸-三沢はわずかな距離で,特急券を買うのがもったいないぐらいだ.さて,八戸から青森までの車窓は,やはり独特のものがある.時折,沼が点在し,湿地の中を列車が走るかのように思えてくる.青森の近くでは,右手に海が見えたりもする.沿線は変化に富んだ車窓が展開されているような気がする.1時間ほどの乗車を終えて,青森にはほぼ定刻に到着した.自由席では半分以上の人がここで下車して,北海道まで乗車するのは少ないようである.

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